
はじめに
個人開発サイトのアクセス解析記事は「月間1万PV達成!」のような華やかな数字が多い。しかし、公開から5週間の個人開発サイトのリアルな数字はどうだろうか。
ZERONOVA LABは2026年1月17日に公開した。公開から約5週間が経った2月23日、Vercel Web Analyticsの7日間データを初めてじっくり確認した。
72人のユニーク訪問者、93ページビュー。
大きな数字ではない。しかし、このデータから見えた流入構造は予想外に面白かった。検索エンジン経由が76%を占め、ChatGPTからの流入まであった。小さな数字の中に、サイトの方向性を裏付ける兆しが詰まっていた。
実データ: 7日間のアクセス概要
| 指標 | 値 |
|---|---|
| ユニーク訪問者(UU) | 72 |
| ページビュー(PV) | 93 |
| PV/UU | 1.29 |
PV/UUが1.29ということは、ほとんどの訪問者が1ページだけ見て離脱している。ランディングページの質は悪くないが、サイト内回遊を促す導線が弱いことを示唆している。
流入元の内訳: 検索が76%を占める
最も驚いたのはリファラーの構成だ。
| 流入元 | 割合 | 補足 |
|---|---|---|
| 38% | 検索流入 | |
| Bing | 31% | 検索流入 |
| Yahoo | 4% | 検索流入 |
| DuckDuckGo | 3% | 検索流入 |
| 検索計 | 76% | |
| Qiita | 15% | 記事クロスポスト |
| ChatGPT | 3% | AI検索 |
| その他 | 6% |
検索流入が主要チャネルになっている
公開5週間で検索流入が76%を占めているのは、無料ツール × SEO戦略が機能し始めている兆候だ。89個のツールページと59本のFocus Blog記事が検索エンジンにインデックスされ、ロングテールキーワードで流入を集め始めている。
Bingの31%は意外に高い。Bingは日本でのシェアが低い(推定5-8%程度)にもかかわらず、Googleに迫る割合を占めている。考えられる理由は2つ。Bingのインデックスが速く、新しいサイトが上位表示されやすい可能性があること。もう1つは、Microsoft Edgeのデフォルトブラウザユーザーからの流入だ。
Qiita経由15%: クロスポスト戦略の効果
2月20日にQiitaへ初投稿した。その記事がQiita経由で15%の流入を生んでいる。
Story Logにはこう書いている。
Qiita「Claude Codeで10日間に82個の無料Webツールを作った」は1日で415ビュー。投稿10分で70views、Vercel Analytics でも qiita.com からの流入が11 visitors / 14 PV(リファラー16%)と導線が機能していた。
既存のJournal記事をQiita向けに再構成して投稿する戦略が機能している。自サイトだけでは届かない読者層にリーチできるプラットフォームの力は大きい。
ChatGPT経由3%: AI検索という新チャネル
最も興味深いのはChatGPT経由の流入だ。3%と小さいが、AI検索からの流入が既に発生していることの意味は大きい。
ChatGPT(3%)からの流入があったのも面白い。AI検索という新しいチャネルの兆し。
ChatGPTやBing AIのような対話型AI検索は、ユーザーの質問に対してWebページを引用する形で回答する。ZERONOVA LABのツールページがAIの回答ソースとして選ばれているということだ。89個のツールページにはそれぞれSoftwareApplication + FAQPage のJSON-LD構造化データが設定されており、この構造化データがAI検索のソース選定に寄与している可能性がある。
Search Consoleのデータ
Vercel AnalyticsとGoogle Search Consoleのデータを合わせて見ると、より立体的な状況が見える。
zeronova-lab.com の Search Console を確認。クリック31・表示684・CTR 4.5%・平均順位25.6。2/12以降に表示回数が急上昇している。
表示回数684に対してクリック31。つまり検索結果に表示はされているが、クリックされていないページが多い。平均順位25.6は検索結果の3ページ目付近で、1ページ目(上位10位)に入れれば大幅なクリック増が見込める。
小さな数字の中に見える方向性
72UU・93PVという数字だけを見ると「まだまだこれから」だが、流入構造から読み取れることは多い。
1. SEO戦略は正しい方向に機能している
89個のツールページを作った目的はSEO流入の獲得だった。公開5週間で検索流入76%という結果は、戦略の方向性が正しいことを示している。89ツール×59記事をどう双方向リンクで結んでいるかはSEOコンテンツクラスターの記事で詳しく書いている。
2. クロスポスト戦略が即効性を持つ
Qiitaへの初投稿が1日で415ビュー、サイトへの流入15%。自サイトのSEOだけでは時間がかかる認知獲得を、プラットフォームの力で加速できている。
Story Logには、プラットフォーム戦略について以下の分析がある。
原因を分析した結果、Zenn の読者層(純エンジニア)と ZERONOVA LAB のコンセプト(PM × AI)のミスマッチが根本にあると判断した。Zenn では Supabase の技術記事を現役バックエンドエンジニアと競合する形になり、PM が書いた記事は権威性で見劣りする。一方 Qiita では「PM が AI で82個作った」というストーリーが独自性になっている。
「どのプラットフォームに何を出すか」の戦略が重要だ。Qiitaでは「PM × AI」のストーリーが独自性になり、Zennでは純エンジニアとの競合で埋もれる。自分の強みが活きるプラットフォームを選ぶべきだ。
3. AI検索は今後拡大する可能性がある
ChatGPT経由3%は小さいが、AI検索の利用者は増加傾向にある。構造化データ(JSON-LD)を丁寧に設定し、AIが参照しやすいコンテンツを提供し続けることで、このチャネルからの流入が自然に増えていく可能性がある。
次にやること
データから導き出した次のアクション。
短期(1-2週間)
- title/description最適化: Search Consoleで表示回数が多くCTRが低いページを特定し、クリックされるタイトルに改善
- 内部リンク強化: 平均順位20位前後のページへの内部リンクを追加し、順位押し上げを狙う
- Qiita週2本投稿: クロスポスト戦略を継続し、プラットフォーム経由の認知を拡大
中期(1-3ヶ月)
- ツール100個到達: 残り11個のツールを追加し、検索面積をさらに拡大
- Google Play公開: IdeaSpoolをTWA(Trusted Web Activity)でGoogle Playに公開し、新しい認知チャネルを開拓
- デモ動画の量産: デモ動画作成ツールを使って各ツールの紹介動画を作成し、YouTubeからの流入を狙う
継続的
- 月次アクセス解析: 毎月のデータを記録し、施策の効果を検証する
- コンテンツクラスター拡充: ツールページと記事の双方向リンクを強化し、サイト全体のSEO評価を高める
学んだこと
小さな数字でも公開する価値がある
「72UU」という数字を公開するのは正直ためらいがあった。しかし、個人開発サイトの立ち上げ期のリアルなデータを公開している記事は少ない。検索流入76%、ChatGPT経由3%という流入構造の分析は、同じフェーズにいる個人開発者にとって参考になるはずだ。
検索流入は「量」ではなく「構造」を見る
76%が検索流入ということは、SNSやダイレクト流入に依存していない健全な構造だ。検索からの流入は持続性が高く、コンテンツが増えるほど積み上がる。5週間時点でこの構造が確立されているのは、長期的に見て良い兆候だ。
プラットフォームの使い分けが重要
QiitaとZennでは、同じ「技術記事」でも届く層と刺さる切り口が全く違う。自分のポジション(PM × AI)が独自性になるプラットフォームを見極め、リソースを集中させるべきだ。
「エンジニアとして勝負する」のではなく「PM × AI という独自ポジションで届ける」方が自分のブランドに合っている
この気づきは、今後のコンテンツ戦略全体に影響する重要な判断だった。
Zeronova(ゼロノバ)
Product Manager / AI-Native Builder
Web/IT業界19年以上・20以上のWebサービスを担当したPdM。東証プライム上場企業の子会社代表として事業経営を経験。現在はAIを駆使して企画から実装まで完結させる個人開発を実践中。